光の中で眠る(パフォーマンス/インスタレーション)
Sleeping in the Light (performance / installation)
“私は家族が昼寝する姿を映した。画面外の小さなミラーボールに反射して、ずっと遠くから届く陽光の粒が寝顔に当たる。それは大きな赤子のようにも、死の似姿のようにも見えた。家族は互いにどこかしら似ている。自らの写しとして彫刻を作る過程では、父や母方の祖父の顔を空目した。これは一昨年の弟の死にまつわるトラウマの克服と家族再考の試み。”(エッセイ冒頭より)
『光の中で眠る』は、映像に二つのテキスト(エッセイと戯曲)が与えられ、本や演者が媒介となり、インスタレーションとパフォーマンスの二作品として公開されました。 
人の死のあとには様々な言葉によって解釈や慰み、鎮魂が試みられ、そのどれもがとても重要で、しかし常に取りこぼす事柄の方が多いものです。藤中はノンフィクション(エッセイ)とフィクション(戯曲)という性質の異なる二つのテキストによって「死」と「家族」にまつわる様々な側面に目を向け、彫刻制作や演者の身体を通して「ここにない体」へのアクセスとケアを試みます。ケアの技法によって開かれる通路を逆に辿れば、目の前にある体や、それを内側から生きる自分の体をも新たに捉え直すことができるでしょう。
パフォーマンスの稽古と公演の様子はアーティスト・小野愛のドローイングによって記録され、哲学者・長谷川祐輔との対話を通して検討されました。映像・テキスト・演者・彫刻に加え、絵を描く目と他者の言葉によって、多層的に「死」と「家族」、そして身体へ迫ります。

記録映像(パスワードが必要です)
パフォーマンス版(2025.06.27-29 / BUoY)
Artist, director / Koki Fujinaka
Cast / Mitsuhiko Ito, Shion Takatori, Hikaru Hara, Mitsui Asahi(IE) 
Drawing / Megumi Ono 
Observation / Yusuke Hasegawa
Sound / Yoshiki Masuda 
Lighting cooperation / Makoto Uemura
Lighting Operation / Yoshihito Konishi
Production management / Mitsui Asahi(IE) 
Promotional designer/ Atsuya Itakura

ドローイング(小野愛)
パフォーマンスの様子はアーティスト・小野愛のドローイングによって記録され、会期中に展示された。各回の後には、パフォーマンス中に描かれたドローイングが小野のいた場所に残される。
インスタレーション版(2025.06.27-29 / BUoY)
Koki Fujinaka | Sleeping in the Light (installation) | 2025 | Installation | 2 videos(00:35:53 and 00:09:57), oil clay, wood, mirror, mirror ball, book
「眠る家族の映像」「彫刻の目を閉じる映像」「自刻像」「本(エッセイ)」によって構成されたインスタレーション。本には作者の弟が他界した2023年12月以降の約一年間で書き溜めた文章が記されている。映っている人物が眠っている間は映像が無音になり、わずかに上下する布団の動きだけが呼吸していることを伝える。
インスタレーション版(2025.03.02 / 美学校スタジオ)
美学校スタジオ(東京神保町)にて、パフォーマンス版の制作開始前に一日だけ開催された展示。哲学者・長谷川祐輔が展評を公開している。
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